Little Big Planetのゲームデザイン

http://kirik.tea-nifty.com/diary/2009/11/post-df88.html

なんとなくこれを読んでて思ったけれども,
ゲームを多人数で作るからにはそれなりに戦略を持たないとスケールしないだろう,ということ.
Little Big Planetがよくできてるなぁ,と思ったのは,
ゲームエンジンゲームデザインとそれに用いる素材が綺麗に分離している点だった.
現状は知らないのでなんとも言えないけれども,
LBPは人数が増えるほどゲームとしてボリュームが増す仕組みになってるんじゃないだろうか.
ゲームエンジンは流行の物理シミュレーションを行うだけであって,
下手したら一人で作ってるだろう.
ゲームデザインは各ステージを一人ずつが作ってるように思える.
「Created By ほげほげ」って出てるのは,本当に一人で全部作ってるんじゃないだろうか.
そうすると,20人ほど集めれば20個のステージができあがり,
各2ステージ作れば40ステージ.
一人で2ステージを見ればいいだけだから,その40ステージはクオリティも自然と上がるだろう.
一つのステージを二人ならともかく三人も参加すると破綻するのは目に見えている.
人数が増えればステージを増やせばいいわけで,全体を等したストーリー性がそんなに求められていないからこそ出来る芸当でもある.
そして,そのステージをクリエイトするための素材.
発泡スチロールからツイード生地までなんでもそろっているんだが,これも作る側は素材のリアリティだけ求めればいいわけで非常に作りやすい.
ステッカーやアクセサリなど膨大な数の部品がLBPでは出てくるが,これも素材とステージが分離しているからこそ出来る芸当だろう.
ステージを作る人間が素材まで作るとなるとこうはいかない.(いや,作ってるのかもしれんが)


そういう意味で日本製RPGの不幸な点はこうした分離が非常にやりにくい点ではないかな.
全体のストーリーを考えないといけないし,モンスターのバランスも考慮しないとならず,武器や防具を作り込んでもゲーム内ではそんなに重要ではない.
しょーもないミニゲームがいっぱいあっても全然嬉しくはないし,
かといってグラフィックが綺麗でもそれはそれで飽きてくる.
イベントがいっぱい発生するようなRPGはあるけれども,
そうするとストーリーの一貫性が無くなったりして結局イマイチになる.


最近のおもしろいゲームは割とそういう分離がうまく出来ている気がする.
GTAにしてもそうだし,FPS系のゲームも割と要素に分かれている.
そう考えると日本製RPGぐらいかな.最近やってないけど.


なんとなくイメージだけど,日本製RPGの場合はゲームを作るトップの人が全てに対する絶対的な権力を持っていて,他の人たちはその人をサポートする駒でしかない.
一方でLBPのようなやり方はゲームを作るトップの人が各要素を開発者に任せてしまう方式に思える.
どちらがいいとか悪いじゃなくて,それぞれのゲームデザインが開発体制を決めているだけな気はする.
でも,なんとなく前者の開発体制は規模が大きくなるにつれてデバッグしにくそうだな.LBPのデバッグなんて本当に簡単でいいような気がする.
ゲームのクオリティを求めた結果の人員増は収益増につながるとは思うけれど,
バグを取るための人員増は収益減とはならなくとも収益増にはつながりにくいよね.